3冊目『東国の戦国合戦』
今日も行きつけのバーでお酒を飲んでいる。
このお店は本を紹介する変わったバーだ。
店そのものはごく普通なのだが、マスターの紹介する本が面白くてリピーターになる人もいるという。
ちなみにオレもそういうリピーターの一人だ。
「マスター。今日も面白い本紹介してくれる?」
オレは早速マスターに頼んだ。
「たしか笹川さんは戦国時代が好きだって言ってましたよね」
よく覚えてるなと感心した。
「そうだね。戦国時代は好きだよ」
「ではうってつけ本があります」
そう言うとマスターは一冊の本をオレの手元に置いた。
『東国の戦国合戦』
「東国っていうと関東とかそっちの方ってこと?」
「その通りです。今の関東圏を中心にした戦国史ですね」
「ずいぶんとまた一般受けしなさそうな本だな」
「笹川さんに紹介してますので」
マスターは静かにそう言った。
「なかなか嬉しいことを言ってくれるね」
「で内容はどんななの?」
「読んで頂ければわかりますが、戦国史にそれなりの造詣がある方なら読んで面白いと思います」
「それは楽しみだな」
「本書の内容は戦国の前期から小田原征伐までの歴史を記述しています。特に今までの関東地方の戦国史は後北条氏の関東征服史のような内容が多いと思いますが本書は後北条氏以外の大小名が戦国の荒波にどのように立ち向かっていくかそうい面白いさを感じられます」
「オレはどちらかというと後北条氏贔屓だけどなあ〜」
「そういう笹川さまでも本書は楽しめると思いますよ。やはり戦国時代というのは浮き沈みが激しいということが本書からよくわかります。少し対応を間違えたことで家が没落する者と栄える者、生き残る者の明暗が感じられます」
「戦国時代はなかなかのサバイバルだからね」
「もしかしたら今を生きるヒントみたいなものが見つかるかもしれません」
「それはちょっと言い過ぎでしょ。まあそんなにマスターがおススメするなら借りてみるよ」
オレは会計を済ませて本と共にバーを後にした。