12冊目『限りなく透明に近いブルー』
前回の記事で書いたけど、僕はこの小説を読んだ時ミスターチルドレンの『Round About~孤独の肖像』が頭の中で流れた。
この小説はタイトルからすると想像出来ない様な内容の小説で若者の暴力・ドラッグ・セックスを描いたもの。
その退廃的で享楽的で刹那的な若者たちのあり方は本来なら読んでいて気分のいいものではなく、不快な気分にさせるものだ。
だが不思議とそういう不快感を感じさせない。
それはこの小説の文体がそれを感じさせないような文体になっているからだろう。
こういう内容を村上龍という作家はサラサラと描いてみせた。
そこにこの小説の凄さがある。
発表された当時、この小説のそういう部分が注目されたというのも頷ける。
ここまで透明な文体は内容のえげつなさを緩和させていてどこまでも他人事のように感じさせる。
そう生々しさがそこにはない。
逆にそういう生々しさというか人間の人間たる姿というものを真正面から描いてみせたものもある。
そういう作品として紹介するなら僕はこの作品を紹介する。
東野圭吾原作『白夜行』をドラマ化したTBSドラマ『白夜行』だ。
次回はこのドラマを紹介したい。