11冊目『何者』
【Amazon.co.jp限定】 何者 (特典:新潮文庫の100冊キュンタ 壁紙ダウンロード)
- 作者: 朝井リョウ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/06/26
- メディア: 文庫
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朝井リョウ氏は僕と同じ平成世代。
朝井氏が注目されたのは『霧島、部活やめるってよ』という小説だと記憶している。
『何者』は就活を巡る若者たちの青春模様を描いた小説で当時、就活をやっていた者なら共感できる部分が多い小説だと思うけどそれ以外の世代だと共感しづらいかもしれない。
小説の中ではツイッターのやり取りを取り入れていてこの小説が書かれたのが丁度SNSが広がり始めていたころだと認識できる。
『何者』の主人公は前回、紹介した『凍りのくじら』の主人公の様に周りを覚めて見ている。
主人公の就活の捉え方に共感するかしないかでこの小説の読み方は変わってくる。
僕は共感して読んだ。
就活の狂騒に踊らされてスーツを着て企業説明会やら企業訪問に行き多きな就活説明会があればそれに参加する。
そういうことを自分自身だってやっていたけどどこかそれを馬鹿にするというかそこに意味を見いだせない。
『何者』の主人公は就活という現象に踊らされている様に見える同世代を冷めた目で見ている。
自分はそんな狂騒には踊らされないぞと言わんばかりに。
本書はそんな主人公目線で話が進みそういう物の見方がさも就活の本質を理解しているかの様に思えてしまうのだから朝井氏の筆力はスゴイと思う。
そして本書のキモはラストシーンにある。
ラストで主人公が馬鹿にしていた周りの若者の一人と対峙する時、主人公の本質が暴かれる。
暴かれた主人公の本質がどのようなものなのかは本書を手に取って読んで判断してほしいが主人公に共感して読んでいた人ははしごを外されたような気持ちになるかもしれない。
客観的であるということは必ずしもいい事ではない。
『何者』はそんなことを僕に教えてくれた小説だった。
自分がどこか達観しているというかどんなことに対しても実感が持てないからなのか欲望を追求する姿に共感してしまうことがある。
それがなぜか人間らしいというかなんというか。
次はそんな欲望の追求や欲望を求めた姿を歌った曲を紹介しょう。
紹介する曲はミスターチルドレン『Round About~孤独の肖像~』