10冊目『凍りのくじら』
藤子・F・不二雄作品(ドラえもん)が好きな女子高生がある男子高校やある男の子との交流を通じてその冷めた性格を少しづつ変えていく。
各章ごとにドラえもんのヒミツ道具が取り上げられながら話が展開していく。
辻村氏の作品に共通していると思うのはちょっとした人間関係のもつれやかけ違いから生じる出来事を上手く作品の中に落とし込んでいる点だと思う。
本作も主人公と元カレとの関係のもつれから話が展開していく。
主人公は冷めた目で周りを見ている。
どこか周りの人をバカにしている。
そういうどこか自分の人生に真剣ではない姿が自分自身に重なって見える。
覚めているということが格好いいとかどこか達観しているとか思うことがあるけどでもそれはある意味どんなことにも真剣になれずどんなことも他人ごとなのかもしれない。
『凍りのくじら』を読んで思い出した小説がある。
朝井リョウの『何者』だ。
この小説も主人公が冷めた目で就活に踊らされている様に見える周りの学生を見ている。
次はこの小説を紹介しよう。