『白夜行』
ドラマ版白夜行は賛否両論のあるドラマだ。
小説を先に読んでそのファンの中にはこのドラマがふたりの主人公の関係性を明快に描いた点(小説ではふたりの関係性は本当のところよくわかっていない)、ふたりの主人公の性格が小説とは違う点(小説ではふたりの主人公の感情的な面は描かれていない)などが批判されたと記憶している。
このドラマの良さは上批判されたような上記のような点にあったと思う。
小説は徹底的にふたりの主人公の内面を描かなかった。
わずかにふたりの主人公が話すセリフから感じ取られる程度だった。
ドラマはそのふたりの主人公に自分自身の内面をさらけ出させた。
犯罪を重ねていく中での葛藤をふたりの主人公のぶつかり合いで見せていたドラマ前半はなかなかのリアリティがあった。
その未熟さを感じさせるドラマ前半からどこか達観したかのようなドラマ後半にかけての主人公の姿は犯罪行為を通してではあるけれども主人公たちの成長を感じさせる。
僕はこのドラマを観たとき、そこに人間らしさを見出した。
主人公たちが見せる他者に対する嫉妬や怒り憎しみといった感情を全面に出す姿を見て人間なんてそんなもんだよなって思ったのだ。
そういう感情は表に出さない方がいいと思われている。
実際にそうだろう。
しかしそういう感情はたとえ表に出さなくても存在するのだ。
それをあえて見せたこのドラマは私にとっては衝撃的だった。
負の感情は世間的には忌み嫌われている。
そして嫌われているのはそういう感情だけではない。
欲望を持つというもあまり良いことだとは思われていないだろう。
次に紹介するのはそんな欲望というものを肯定的に捉えた作品を紹介しよう。
TBSドラマ『JINー仁』だ。