内向的な、あまりにも内向的な

内向的な性格な僕の思考

書評 9冊目 『なぜあの人とは話が通じないのか?–非論理コミュニケーション』

著者紹介

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
中西/雅之
1953年東京都生まれ。国際基督教大学卒業後、渡米。ヴァージニア大学大学院で修士号カンザス大学で博士号(Ph.D.)を取得。カンザス州立大学専任講師、共立女子大学専任講師を経て、津田塾大学英文学科コミュニケーションコース教授。専門は、対人コミュニケーション、異文化間コミュニケーション(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

本書の概要

コミュニケーションが取れなくなる原因を多角的に分析した本。コミュニケーションに関する理論と技術論を取り扱っています。

 

本書を手に取った理由

コロナ禍で、人と話す時間が減る中、自分のコミュニケーションがどうだったのかな?っていう疑問にぶち当たったので、手に取りました。

 

コミュニケーションって人から習うものじゃないから、なんとなくやってる部分ってあると思います。

 

それで今まで成立してきたから問題なく生活してきたつもりでしたけど、本当は違ったんじゃないかなという思いをこのコロナ禍で考えるようになったんですよね。

 

本書の評価

本書では、コミュニケーションで、上手くいかないとか話が通じないと感じるのは、どこに原因があるのかを可視化してくれてます。

そこはとても良かったです。

コミュニケーションって本当になんとくやってる部分があるので、話しが通じないと感じたとき、どういう理由で話が通じなくなってるのか本書で分析されてるポイントで、考えてみると有益なのかなと思います。

 

ただ、本書で紹介されてる技術論(説得術)はあんまり使えないと思います。

ちょっとここの部分は古い手法だと思ってます。

 

本書を読んで考えたこと

コミュニケーションに何を求めてるのかってことが、結構重要なのかなと思いますね。

大雑把に言えば、自分を理解してもらいのか、それとも相手を理解したいのかというところでもコミュニケーションの方法は変わってくるとは思います。

 

本書の立ち位置はどちらかというと、そういう根本的な部分というよりも、もっとハウツー的な部分が強いかなと思います。

 

ただ理論的な部分に関しては、今まで考えてこなかった部分や、なんとなく考えてたけど、それが自分の中で言語化されてなかった部分をすくってくれました。

 

たとえば、人間関係のタイプを3タイプ(対称型、補完型、並列型)に分類して分析してるところなどは勉強になりました。

 

 

 



 

 

逃げ恥を観た副作用(ネタバレあり)

1/2(土)のお正月、みんなが待ちに待った(?)逃げ恥のスペシャルドラマ。

僕はそこまで楽しみにしていたわけじゃなかったけど、話題性もあり観ることに。

 

そんな、僕の目に飛び込んできたのは、二つの表札……。

「あ……これはめんどくさそうな匂いが……」

 

僕の心の声は一先ず、置いておいて、お話に戻ると、みくりが妊娠したということで、籍を入れるという話に、話しの流れの中で日本が選択的夫婦別姓が認められていこと、ほとんど女性側が姓を変えることになる現実と、そういう夫婦同姓制度は明治以来の制度でけっして、伝統なんかではないということがコミカルに説明されていました。

 

「うん。まあそうですね。間違ってないです」

と思いつつもなんだかモヤモヤした感情が……。

 

「こういう話を観たかったわけじゃないんだよな〜」

「でも、こうやって社会で問題になってることを取り上げるのは良いことだよ。それに明治以来の家制度、家父長制度を変えなければならないんだ」

 

僕の心の声が、二手に別れ始める。

僕の心の声が、二手に別れようが何をしようが、お話は進んでいる。

 

みくりの叔母さん、ゆりちゃんが女友達とお食事をしているシーン。

その女友達が、『あんたのことが好きだった』と告白。

「あ……そこにも手を伸ばす」と僕は心の中で呟く。

しかし同時に別の心の声が「いや。違う。そんなこと思ってしまう僕の価値観が古いんだ。同性同士の恋愛だって珍しくない。それに、異性間の恋愛は、どうしても男女の不平等なあり方によって、平等な恋愛関係にならず正しい恋愛のあり方が成り立たないんだ」と主張する。

 

この時点で副作用が出始めていて、何やら遠くから変な声まで聞こえてくる。

「価値観のアップデート」

 

変な声が聞こえて来ようが、お話は進んでいく。

平匡さんが働く会社の課長、灰原課長が女性社員の見た目を弄る言動を平匡さんにする。

その平匡さんは、灰原課長をやり込め、日頃から灰原課長の見た目イジリやセクハラ言動に怒ってた女性社員と若手男性社員が、平匡さんを囲って灰原課長のグチを言う。

 

女性社員は見た目イジリやセクハラ言動に怒り、若手男性社員は灰原課長の『セクキャバに連れていく』発言を男性から男性へのセクハラだと訴えてる。

 

「見た目イジリ……まあ良くないよね。セクキャバ連れていく発言も良くないよね」

「でも確かに見た目をイジるのは良くないけど、やっぱり見た目で判断してしまう自分もいるんだよな〜」とこの女性社員の中にいる浅川梨奈を見て、まさしく見た目で彼女の写真集を買ったことを思い起こす。

 

もうこの時点でかなり頭の中は、混乱状態に陥り副作用が強くなっている。

 

お話は先に進んでゆりちゃんパート。

告白された女友達にまた会ったゆりちゃんは、告白されたことについて、『愛情か友情かどっちの意味かなって思ったけど、どっちの意味でもうれしいなと思ったよ。ひとりでまいってる時に一筋の光みたいだった。好きって言ってくれてありがとう』と思いの丈を話した。

 

「この発言は、ゆりちゃんが病気のことがあって、大変だったからこういうことを言ったんだよ」

「いや……違う。そうじゃない。これこそが100点満点の回答。同性に告白されたら、こう言いましょうという政治的に正しい言葉」

 

遠くから聞こえてくる「価値観のアップデート」という言葉。

 

お話は先に進んで、みくりことガッキーが悪阻が辛いらしく『子供を男性でも産めるようにしたい』みたいな呪いの言葉を吐く。

「それなら、男性でも出産出来るようにするよりも、人工子宮を開発して、女性が産まなくていいようにすればいいんだよ」と心の声を呟く。

 

だけど、別の心の声がこう呟く。

「違う。そうじゃない。男性が女性の身体への負担の大きさにあまりにも無頓着であることに問題があるんだ」

 

ここまで長々と書いてしまいましたが、逃げ恥の中盤まで僕の頭の中はこんな思考で忙しくてしょうがなかったです。

そして、子供の名前のくだりくらいが、ピークで後はただ画面を眺めてるだけでした。

 

ちなみに……

僕が買った浅川梨奈さんの写真集はこちらです。

浅川梨奈3rd写真集 Re:Birth (YOUNG MAGAZINE SPECIAL EDITION)

浅川梨奈3rd写真集 Re:Birth (YOUNG MAGAZINE SPECIAL EDITION)

  • 作者:浅川 梨奈
  • 発売日: 2019/09/26
  • メディア: 大型本
 

 

 

 

 

 

 

 

 

書評 8冊目『情報だけ武器にしろ。』

今回、書評する本は、『情報だけを武器にしろ。』です。

著者紹介とかは今回、省きます。

誰でも知っている人物なため。

本書を手に取った理由は、読書会の課題本だったということです。

あまり自己啓発本は読まないため久々に読みました。

本書の主題は堀江さんの情報収集術や情報との付き合い方、インプット、アウトプットの方法を紹介するというところです。

本書の前半では、堀江さんがやっている情報収集術や情報との付き合い方、インプット、アウトプットの方法を詳しく紹介しています。

後半になるにつれて、実践例的な話しが多くなり、主題から離れていってます。

 

今、本書の主題について話しましたが、裏の主題が本書にはあると思います。

それは常識を疑うという主題です。

一連の情報収集術などのノウハウは、この常識を疑うこと、常識から自由になるための手段だと位置付けられます。

 

そんな堀江さんが本書で主張するのは、情報だけを武器にして生きることが現代社会では可能になったということです。

 

これを前提に堀江さんは、情報だけを武器にして生きることが出来るのだと主張するのです。

 

まずこの前提が、どこまで妥当なのかということも疑いうることではありますが、この前提を仮にその通りだとして、では本書で紹介しているような情報収集術や情報との付き合い方、インプット、アウトプットの方法を使って情報だけを武器にして生きることは可能なのかというと、そこは出来る人と出来ない人に別れると思います。

 

自己啓発本をどこまで、自分のモノに出来るのかというのは、究極的にはその個人に委ねられるものであり、絶対にそうなれますよということを保証したものではありません。

 

そこをわかった上で自己啓発本を読めるのか読めないのかでも、大きく違うとは思います。

 

では話しを元に戻して、その別れ道はどこにあるのかということです。

それは、身も蓋もないことを言えば、もう出発の時点で別れ道があると言っても過言ではありません。

堀江さんのような性格かどうか、まずこれが別れ道になると思います。

たぶん、堀江さんのような性格でないと、堀江さんが本書で紹介するようなノウハウを使いこなすことが出来ないと思います。

 

僕は残念ながら、堀江さんのような性格ではないし、また堀江さんのようにビジネスに対する感度も高くありません。

なので、本書も数多ある自己啓発本の中で、自分がノウハウを上手く取り込めなかった本として記録されるかなと思います。

 

ただ取り込めなくても、読んで全くの無駄だとは思っていません。

ある意味、本書のお陰で自分の情報収集術や情報との付き合い方、アウトプット、インプット方法などを可視化出来ました。

 

そういう読み方も出来ますし何よりも読みやすいのでオススメします。

 

 

 

 

 

 

今年の目標(たぶん達成しない)

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

 

他のブロガーさんのブログを読んでいたら今年の目標を掲げていたので、今年の目標というかやりたいコトリスト的な話しをしたいと思います。

 

まず、読みたい本リストを作ったので、それを読んでいきたいと思ってます。

一応、200冊(本当は100冊のつもりでしたが)です。

 

分野は小説、日本史、世界史、A I関係、物理、哲学、法学と欲張りです。(笑)

80冊くらい読めればと思ってます。

 

資格を何か取りたい法分野の資格か数学検定を受けたいなんて思ってます。

たぶんこれも達成出来そうもありません。これはそもそも、目標が曖昧過ぎる。

 

ブログの更新をもっとする。

去年、一昨年もサボり気味だったので、今年こそはブログの更新をしていきたいです。一応、毎週土曜日の更新にしようと思ってます。

 

まあ今年も始まってしまったので、頑張ってやってきたいと思います。

 

 

 

2020年に読んで面白かった本

今年も今日で終わりってことで、2020年の読んで面白かった本ベスト5位を紹介します。

 

5位『半年で職場の星になる 働くためのコミュニケーション力』


今年は、コロナで時間があり自分を見つめ直す機会が多かったです。

そういう中で、今一度、コミュニケーションの勉強ということで本書を読みました。

 

4位『人工知能の「最適解」と人間の選択』


人工知能の出す「最適解」と人間が思う「最適解」に相違があった場合どう考えればいいか?というヒントを求めて、人工知能を導入してる企業、司法などを取材し、人工知能を導入した際の人間の選択のあり方を探る。

人工知能が出す「最適解」は本当に信用出来るかということを考える際に人工知能がどのようにして「最適解」を出すのかということが実はブラックボックスだということは理解するべきことで、どのようなデータを学習させるかということも「最適解」を出す上で非常に重要な要素だといことがわかります。

 

3位『魏志倭人伝の謎を解く』

なかなか興味深い本でした。

邪馬台国論争に対してちょっと不満だったのが、魏志倭人伝の記述を正しい前提に九州説と畿内説で争われてる気がして、そもそも魏志倭人伝の記述ってどこまで信用出来るものなの?という検討がないということでした。本書はまさにその魏志倭人伝の記述そのものの信憑性を検討します。

本書で重要なのは、魏志倭人伝はあくまでも当時の中国王朝が自らの正統性を証明するためのものとして書かれてるということです。その上でどの記述が信用出来るのか検討します。

 

2位『才女の運命ー有名な男たちの陰で』

2位は、面白いというよりも、考えさせられる、精神的に強く揺さぶられた本ということでランキングに入れました。

本書を手に取ったのは、ライムスター宇多丸さんがラジオパーソナリティを務めているアフター6ジャンクション(通称アトロク)で本書を訳された松永美穂さんを迎えて、本書について語っていたのを聴きこれは是非読んでみたいなと思ったのがきっかけです。
本書は天才とされる偉大な功績を残した男性たちにはそれを支えていた女性たちがいて、その女性たちも実は豊かな才能があったのではないか?そして男性たちによってその才能を潰され、搾取されていたのではないか?という観点から天才とされる男性たちを支えた女性たちを再評価するという内容になっています。

正直、本書を読んで私は男性であるということに罪の意識を感じる部分と果たしてこれは本書が主題としているような男性による女性の搾取という構造の問題なのか?という根本に対する疑問との間で精神が揺れ動いているというのが本音です。

 

1位『木洩れ日に泳ぐ魚』

木洩れ日に泳ぐ魚 (文春文庫)

木洩れ日に泳ぐ魚 (文春文庫)

  • 作者:恩田 陸
  • 発売日: 2010/11/10
  • メディア: 文庫
 

やっぱり、夢中になって読んだ本を1位にしたいということで、本書が1位です。

別れを決意したカップルが、同棲していた部屋を出て行く最後の夜に、語り合う。そこから、思わぬ事実がわかっていき……。

本書のすごいところはなんと言っても、この部屋でのカップルの語り合いだけで、話を進めていくところだ。

 

功利主義で合コンでの男女の支払い金額の不平等性は指摘できるか?

下記ツイートの内容は、結局のところ人というのはたいして平等性とか公正さとか公平さなどの面倒なことはどうでもよくて、その場で楽しければよいという結論に至るのだけど、ここで言っているベンサム功利主義を用いて男女での支払い金額の不平等性をどのような主張をしたのかが大変気になったので、私も考えてみたいと思ってこの文章を書いてます。

 

 

この東大生がどのようなベンサム功利主義を使ってどのよう主張をしたのかは、ちょっとわからないけど、功利主義の観点から合コンでの男女の支払い金額が違うということの不平等性は指摘できると思う。

 

以下、私が考えた解答はこんな感じになります。

 

功利主義は、最大多数の最大幸福という考えを大原則としています。

この考えはどのような考えかというと、一人一人の幸福量を足し算していき、その全体の量を最大化していくという考え方です。

そしてこの考えの前提になっているのは、一人一人の幸福を計算するにあたって一人一人を平等に扱うということです。

この前提から、考えると明らかにこの男女の支払い金額が違うということは、一人一人を平等に扱ってないということになります。

こう考えるなら功利主義の立場から見ても、男女の支払い金額に差があるということは不平等だという結論になるのかなと思います。

 

こっからは、余談になりますが、僕はこのツイートを見た時に、功利主義から不平等性を指摘できるのかな?と疑問でした。

というのも功利主義は一人一人の幸福量は問わないというスタンスだと思っていたからです。

例えば、男女5人ずつの合計10人の合コンを仮定したとします。

この10人の合コンで3人の男性と5人の女性の満足度が80%、2人の男性の満足度が50%だとしても問題はありません。

全体の幸福度が高ければ高いほどいいので、それぞれの幸福度に違いがあっても問題がないのです。

功利主義は、一人一人を平等に扱いますが、一人一人の幸福度の平等性は問わないのです。

この違いはイマイチ理解が難しいですが、最初から扱いが違うというのと、参加者が平等に扱われた上でそれぞれが満足するかどうかという違いかなと思っています。

 

ちなみに今回は、ものすごく単純に考えましたが、もっと多数の条件を考慮に入れてこの問題を考えることももちろん出来ます。

そしてそこで出される結論は必ずしも不平等だということになるとは思っていません。

表面的に不平等だが実質的には平等だというような結論ももちろん出せます。

 

最後に参考文献

 

 

 

書評 7冊目 『プラグマティズム入門』

 

プラグマティズム入門 (ちくま新書)

プラグマティズム入門 (ちくま新書)

 

 著者紹介

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

伊藤/邦武
1949年神奈川県生まれ。龍谷大学文学部教授。京都大学名誉教授。専攻は分析哲学アメリカ哲学。京都大学大学院文学研究科博士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

内容紹介

 

内容(「BOOK」データベースより)

一九世紀後半にパースが提唱し、ジェイムズが定義づけたプラグマティズムは、従来の西洋哲学の流れを大きく変えた。二〇世紀半ばにはクワインによって再生されたことで、今やアメリカ哲学の中心的存在となったその思想運動は、いかなる意味で革命的だったのか。プラグマティズム研究の日本における第一人者が、その本当の狙いと可能性を明らかにし、アメリカでの最新研究動向と「これからのプラグマティズム」を日本で初めて紹介。いま最も注目される哲学の全貌を明らかにする。

 はじめに

 久しぶりにブログを更新します。世間はコロナでまだまだ大変な状況ですが、もともとインドアな私の日常はそんなに変化がない気がします。

 今回、書評をさせて頂く本は『プラグマティズム入門』という本になります。久しぶりの更新にも関わらず、こんな堅苦しい本を紹介します。いつも自分で思いますが、文章が真面目腐ってるというか、堅苦しいというかユーモアが全然ないというかそんなことが自分の文章の課題なのかなと思っています。

 やっぱり、人に読んでもらえる文章って人の心を動かす文章だと思うんですよね。やっぱりそこが足りてない気がしています。だらだらと書きましたが、書評していきます。

 

本書を手に取った理由

 たくさんいろんな本を読んできましたけど、自分の中でこれといった軸足になる考え方を持てずにいろいろな考え方が頭の中でただグルグルしているだけのように思っていました。

 そしてそんな状態でSNSなどを眺めているとより、自分の頭が混乱するというか確かな考えた方みたいなのがないなという気が強まって、じゃあまずは何か一つの考え方を頭の中にしっかりと入れてみようということで本書を手に取りました。

 

本書の主題

 プラグマティズムという思想がどのように発展してきたか、またそれぞれの時代の中でプラグマティズムという思想がどのような思想と対峙してきたかという見取り図。

 

本書の注意点

 入門書としては中くらいのレベルの入門書かなと思います。ある程度、哲学に対する知識がある人を対象としているというレベルの内容で、哲学の知識が全くない場合は読むのはキツくなるかなと思います。

 こちらの本で難しいかなと思った方は、小川仁志著の『アメリカを動かす思想ープラグマティズム入門』をオススメします。

 

本書の評価

 プラグマティズムという思想の全体像が、わかるようなっていますプラグマティズムという思想はやもすると、たんなる実用主義という批判をされますが、それだけにとどまらないこの思想の魅力を伝えています。

 プラグマティズムの思想家、それぞれには着眼点や問題意識に差があり、プラグマティズム内部の差異に関してもしっかりと説明されています。またそれぞれのプラグマティズムの思想家が、どのような考え方と対峙してきたかということも丁寧に説明されています。

 例えば、本書で取り上げられているパースという思想家はデカルト的な、真理観や真理に到達するための方法を批判していきます。ここでデカルトという人物の名前が出てきましたが、デカルトのことを知らない人が読むとなかなか本書を読むのは厳しいかもしれません。

 もっともこの本を手に取るような人は、なんらかの形で哲学を勉強して、哲学に全く興味がないという人はいないと思いますが……。