内向的な、あまりにも内向的な

内向的な性格な僕の思考

5冊目「生殖医療はヒトを幸せにするのか」

やっぱりここは落ち着いてていいな。

 

私はグラスを傾けながらそう思った。

 

ブックスは私の行きつけの店で、お店のマスターが頼めば本紹介してくれたりする変わったバーだ。

 

「マスター。あのインテリアみたいに壁に飾られてる本は読んでいいの?」

 

私はお店の壁に設置されている本棚を指差した。

 

「あ!どうぞ」

 

私は席から離れて本棚に向かった。

 

そこにはいろいろなジャンルの本があった。

 

「マスターはこの本棚にある本、全部読んだんですか?」

 

素朴な疑問だった。

 

「はい。そちらの本棚に入ってる本は定期的に変えているんですが、全部よんでます」

 

流石、あなたに合った本を紹介しますと看板を出しているだけある。

 

私は面白い本がないかと本棚を眺める。

 

その中で気になる本を見つけた。

 

私はそれを手に取って席に戻る。

 

「マスターはこういう話題にも興味があるんですね」

 

私はページをめくりながらそう言った。

 

「その本ですね。なかなか難しい問題を扱っているなって思いましたよ」

 

「マスターはこの本を読んでみてどう思ったんですか?」

 

私はマスターがこの本をどう読んだのか気になった。

 

「著者はとても冷静に事例を紹介してるなって思いますね。だからこそ著者の考えとか意見が見えないと思う人もいるかと思います」

 

「じゃあこの本は生殖医療でどんな問題があるかってことを紹介した本なんですか?」

 

「そうですね。生殖医療が生み出している倫理的、法律的問題を浮き彫りにしてますね」

 

「だからその本はそういう問題を考えるための入口として生殖医療を利用した人がどのような人たちで利用した後、どういう問題を抱えたかということを知れる点がオススメできるポイントかな」

 

マスターはそう言うとまた自分の業務に戻った。

 

私は序章を読み始める。

 

しばらく序章を読んでいるとマスターが声をかけてきた。

 

「そちらの本よければお貸しします」

 

私は小さくうなずいた。

 

 

生殖医療はヒトを幸せにするのか 生命倫理から考える (光文社新書)

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