31冊目『永すぎた春』
婚約をした1組の男女がその結婚までの期間に起こる危機を乗り越えて結婚に向かっていく話。
なにぶん古い小説なので今の時代に合わない部分もあるが恋愛と結婚の差異がわかる話。
恋愛はその本質的に不安定さを求める。それは恋愛というものがある種の非日常に属するものだからだ。
そして結婚とはその逆で本質的に安定さ
求めるそれは生活であり日常であるからだ。
本書はそのことを良く表現している。
主人公の百子も郁雄も結婚というゴールが決まっているのにも関わらず安定を嫌っている。
それは両者ともまだ相手に対して恋愛をしていたいとい感情を持っているためだ。
そして本書はそのことを様々な出来事を通して描き出している。
例えば、郁雄に言いよる女性が出てきて郁雄もその女性に惹かれて関係を持ってしまったり、百子のことを気に入った郁雄の友達が百子と関係を持とうとしたり。
本書はまた三島由紀夫氏の小説の中でも読みやすい小説である。
なので気になった方はぜひ読んでみてほしい。